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マンガのコマ
- 主要キャラを描いたコマ
- 主要キャラの見ているものコマ
- 場面・時間を示すト書き代わりのコマ
- それ以外のコマ
と言っていいでしょうか?
で、問題なのは、主要キャラを描いたコマが主要キャラの見ているものを示すコマと重複する場合が実に多いという点。
『いびつ』 主人公・男子が主人公・女子の教室まで傘を届けに来た。
各コマがどれであるかを考えてみると、
1 主要キャラが何かを見ている
2 主要キャラの見ているもの + 主要キャラの台詞
1 主要キャラが窓からのぞく (これって別の主要キャラから見た光景なのだろうか?)
2 主要キャラから見た光景 (でも、ト書きの場面描写に近い)
1 別の主要キャラの様子 (でも、主要キャラ・男子のPOVの可能性もある)
1 主要キャラのアクション
ざっとこんな感じになります。
岡田和人作品の非常に特徴的なページの横幅をフルに使ったコマ。
このコマですと、二人のうちのどちらかのPOVを模した構図という可能性はゼロです。
つまり完全に客観的なカメラであり、そのうえ登場人物の心情を表現するスクリーントーンも排除されています。
二人の関係性を、できるだけ客観的に提示してみるというコマスタイルなのだと思いますが、
岡田作品ではたいてい暴力的なシーンが描かれることが多いです。
映画でも暴力的なシーンを一切の情緒的演出を排して提示するものがありますが、それをマンガにするとこのような形態になるのかもしれません。
また意見の分かれるのは
このコマの扱いだと思われます。
この主要キャラ・女子はどSな設定で、この後も主要キャラ・男子にむちゃくちゃな要求をするのですが、
このコマでは優しい表情で描かれています。
このコマは主要キャラ・男子のPOVと言っていいのだろうか?ダメなのだろうか?
つまり、主要キャラ・男子は女子のやさしさに気づいていたのか?どうなのか?ということなのですけれども、
読者の立場としては、どちらかに決めつける根拠がどこにもないのですよね。
つまり、結論がでなくてどこまで行ってもあいまいなままで、結局読者個人の印象にゆだねるしかなくなるのです。
そして、わたしが分割したコマの並べ方ですが、実のところ絶対的なものではなく、
この順序も可能だと思います、というか、本当のところはこちらの方が普通だと思います。
これですと
このコマって、主要キャラ・女子のPOVでもある可能性が生じます。
つまり、主要キャラ・男子が教室に傘を届けに来てくれるのを主要キャラ・女子は優しげな表情でずっと待っていた。
それに対して、男子の方は
こんな風に遠目でしか女子の優しい表情を見ることが出来なくて、女子の心情をはっきりとはつかんでいない。
マンガ読んだ時の印象、感想って人によって違うんですが、その根拠というのはそれぞれの人生経験というほど大それたものではなく、解析してみると微々たる差のようです。